赤・黒の赤熊(しゃぐま)に赤衣を着た鬼は、鉦・太鼓を打ちながら踊ります。毎年4月の第2日曜日の「今宮やすらい祭」(今宮神社にて)。
春、開花の頃――。
氷河期を今に伝える深泥池(みぞろがいけ)の浮島にミツガシワの白い花。
桜前線は衣笠(きぬがさ)の平野神社から鷹峯の常照寺(じょうしょうじ)、西賀茂の神光院(じんこういん)へ。
花傘に花の精を集めて疫(えき)神詣でのやすらい祭は、
「やすらい花や」の囃しで知られる京都市指定無形民俗文化財です。
上賀茂大田(かみがもおおた)の沢にカキツバタが紫の花をつけ、
葵祭の行列が加茂街道を上賀茂神社に向かいます。
夏、送り火の頃――。
蝉時雨(せみしぐれ)がこだまする船岡山
人々は涼を求めて賀茂の河畔に出かけます。
盂蘭盆会(うらぼんえ)の大文字五山送り火(だいもんじござんおくりび)は、京の夏の風物詩。
西賀茂の船山と大北山の左大文字に精霊を見送ります。
秋、紅葉の頃――。
鷹峯の光悦寺(こうえつじ)に萩が咲き乱れ、ついで紅葉に包まれます。
小野の岩戸落葉(いわとおちば)神社のイチョウも黄葉にもえる頃になると、
北山はもう冬支度。
柊野(ひいらぎの)ダムの滝水が、白いレースの布となって流れ落ちる。涼感溢れる賀茂川の夏景色。
冬、雪の頃――。
賀茂川堤にユリカモメが姿を見せると、
やがて北山時雨が音もなく町を流れて行きます。
金閣寺(きんかくじ)の雪化粧は絶景です。
小野や氷室(ひむろ)、雲ヶ畑(くもがはた)などの山あいは一面の銀世界。
そして年が明け、上賀茂に「幸在(さんやれ)」の囃し声が巡る頃、
人々は春の足音を聞くのです。

 
錦秋の光悦寺(こうえつじ)。本阿弥光悦が築いた美の世界が偲ばれます。 陽だまりに憩っていたユリカモメは、やがて日暮れとともに「鳥柱」をつくり、比叡の峰を越えて行きます。